慢性腎臓病(CKD)診療を極める 診断と病因の分類
常染色体優性多発性嚢胞腎
花岡 一成
1
1東京慈恵会医科大学附属第三病院 腎臓・高血圧内科
キーワード:
降圧剤
,
高血圧
,
臓器サイズ
,
腎嚢胞-常染色体優性多発性
,
Tolvaptan
,
慢性腎臓病
Keyword:
Antihypertensive Agents
,
Hypertension
,
Organ Size
,
Polycystic Kidney, Autosomal Dominant
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Tolvaptan
pp.73-76
発行日 2016年7月1日
Published Date 2016/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016259145
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常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)はPKD1遺伝子またはPKD2遺伝子の変異により,両側腎臓に多数の嚢胞が多発し腎障害が進行するとともに,種々の臓器の合併症を伴う遺伝性疾患である.従来行われている腎障害のcommon pathwayの治療とともに,基礎研究で解明された病態生理をもとにした新たな治療が始まりつつある.降圧療法には腎障害の進展を抑える効果があるが,至適血圧,降圧薬の選択にはさらなる検討が必要である.バソプレシンV2受容体拮抗薬はADPKDの腎容積増大と腎障害の進行を抑えることが示され,治療薬として診療に使われている.ソマトスタチン,mTOR阻害薬,糖代謝や脂質代謝をコントロールする薬剤が治療薬として検討されている.治療と同時に,患者・家族に遺伝情報の提供や心理的サポートを行う遺伝カウンセリングの普及が望まれる.
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