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特集 痴呆の外来診療
わかりやすい痴呆症状のとらえ方
How to Catch the Symptoms of Dementia
佐々木 健
1
1きのこエスポアール病院
pp.1067-1071
発行日 1995年12月15日
Published Date 1995/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901684
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痴呆老人とは(症状をとらえるにあたって必要なこと)
診療に際して,まず最初に痴呆性老人とはいかなる人であるかを知る必要がある.痴呆について詳細に述べてある書物は多いが,痴呆性老人について記述は少ない.臨床において大切なことは,痴呆という状態だけに対象をおかず,痴呆を持った老人,という視点を大切にしたい.筆者は痴呆性老人に接する時,彼らにあるイメージを持つことにしている.それは「痴呆性老人とは,不安定な板の上でようやく回転している倒れそうなコマのような存在である.」というものである.痴呆の過程は,知というコマ本体が小さくなるにつれて,最初は土台となる情が不安定となるため,不安定な回転を余儀なくされ,さらに進行すると本体はより小さくなり,そのため回転力(意)も低下して倒れてしまう.医療の目標は,このコマが最期まで倒れないように回転するにはどうしたらよいかを実行することである.つまり,痴呆性老人を診療する場合,その症状や行動をどうとらえ,理解し,対応できるかによって医療の内容,効果も大きく違ってくる.同時に症状を経時的にとらえる視点もないと適切な医療はできない.本稿は以上の観点から,臨床上おさえておきたい症状のポイントを説明する.
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