今月の主題 ベッドサイドの痴呆学
治せる痴呆を見逃さないために
治せる痴呆と治せない痴呆の見分け方
久野 貞子
1
1国立療養所宇多野病院・神経内科
pp.2074-2075
発行日 1990年10月10日
Published Date 1990/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900539
- 有料閲覧
- 文献概要
現在,アルツハイマー病(AD)またはアルツハイマー型老年痴呆(SDAT)が治せない痴呆であり,脳血管性痴呆が多少とも改善余地がある痴呆とされているのに対して,Cummings1,2)により提唱された可逆的痴呆またはtreatable dementia(TD)という概念がある.彼の分類によれば,代謝性疾患,頭蓋内疾患,中毒性疾患などにより二次的に知的機能が障害されたために生じた痴呆は,原疾患を治療すれば改善するので治せる痴呆ということになる.これらの痴呆は通常,原疾患に対する早期の適切な治療によって改善可能であるが,時期を失すると不可逆的痴呆に陥るため,第一線の臨床医師の適切な診断が予後を左右するといっても過言ではない.ここでは,TDの診断の手がかりについて簡単に述べる.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.