特集 痴呆のスケール—きめこまかなケアのための客観的評価尺度
痴呆の基本理解—痴呆と痴呆に似た症状
藤本 直規
1
1藤本クリニック
pp.1094-1106
発行日 2001年12月1日
Published Date 2001/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661906063
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はじめに
社会の急速な高齢化に伴い,1990年には約100万人といわれた痴呆老人も,2015年には約260万人にのぼると推計されている.そこで,急増する痴呆老人への対策として2000年4月から開始された介護保険のもとで,「介護は社会全体で支えるという共通認識の定着」「サービスの選択権など利用者の権利確保」「利用者・医療・福祉の連携役となるケアマネジャーの新設」「特定非営利法人(NPO)などへの財政補助によるサービス事業参加機会の拡大」が推進され,それにともない,特別養護老人ホーム(特養),老人保健施設(老健),デイサービスセンターの増設,最近注目されている宅老所.グループホームの新設など,多くの福祉サービスの基盤整備が加速されている.また,ケアマネジャーによって作成されるケアプランによって,これらの福祉サービスの有効的かつ効率的な連携が図られようとしている.
一方,痴呆患者に対する医療のかかわりをみると,精神科に併設された痴呆疾患センターが専門外来として位置づけられているが,量的な整備が不十分であり,多くの高齢者が受診している地域の診療所と一般病院では,痴呆患者の診断,診断後の役割分担,入院での治療・看護体制の充実,介護者への指導,福祉との連携などが十分には行なわれていない.
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