和漢診療ケーススタディ 主訴からのアプローチ・5
1日5回以上下痢をする
安藤 親男
1
,
土佐 寛順
2
,
田中 伸明
2
,
川俣 博嗣
2
,
後藤 敏
3
,
寺澤 捷年
4
1リバーサイドホスピタル内科
2諏訪中央病院東洋医学センター
3諏訪中央病院整形外科
4富山医科大学和漢診療学
pp.1035-1038
発行日 1994年11月15日
Published Date 1994/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901349
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和漢診療の基本的な考え方
土佐 今月の症例のように,低体温傾向があり,顔色が青白い,非常に疲れやすいという体の元気がないタイプ,そして冷えっぽく,血圧も低いという人は,漢方的にいうと陰証で虚証のタイプです.また,下痢をしても腹痛を伴わない場合,漢方的には陰証の下痢と言います.
寺澤 陽証の下痢というと,テネスムスというかしぶりばらが出たり,下痢のあとに肛門の灼熱感が出ることがあります.そうするとこの人は,陰,陽で分けると陰の状態です.したがって,太陰,少陰,厥陰のいずれかで,そして気血の量が衰えている.「気虚の診断基準」(J1)によると,疲れやすいとか下痢傾向があるというとかなり気虚のスコアが高くなります.つまり気虚の状態も伴っています.気血水論でいくと,この症例の場合主訴が下痢で振水音を認めるということで,水の異常,水滞の病態ですね.
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