和漢診療ケース・スタディ 主訴からのアプローチ・2
下腹部痛
楊 孝康
1
,
安藤 親男
2
,
田中 伸明
3
,
萬谷 直樹
4
,
後藤 敏
5
,
土佐 寛順
6
,
寺澤 捷年
7
1リバーサイドホスピタル
2リバーサイドホスピタル内科
3リバーサイドホスピタル東洋医学センター
4富山医科薬科大学和漢診療学
5諏訪中央病院整形外科
6諏訪中央病院東洋医学センター
7富山医科薬科大学和漢診療学教室
pp.737-740
発行日 1994年8月15日
Published Date 1994/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414901267
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和漢診療の基本的な考え方
寺澤 今回は血虚―「血(けつ)が衰えた」という病態を中心に討論します.
まず,症例の和漢診療学的所見をご覧ください.脈が沈んだという所見がとられていますが,これについては先月号でも出まして,消化管付近に病気があるということです.脈がやや数(さく)というのは頻脈傾向にあるということで,虚というのは弱い脈です.細というのは橈骨動脈が細く感じることで,気血が衰えた時に現れる症状です.脈が渋(しゅう)というのは脈速が遅くなることです.3本の指でみて,中枢側から末梢側にいく脈波の伝播速度が遅くなった状態で,これもやはり体の中に寒さがあったり血の滞りがあったりする時に現れてくる脈です.舌が淡白というのは,先月号でも話しましたが,貧血も反映していると思われますが,気血論でいくと気が衰えていることが多い.舌が腫大しているのも水が滞っているか気が衰えているかということです.湿った白苔が中等度という,この苔の意義はどういうことですか.
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