口絵 眼で見る看護史・1
古代の看護
石原 明
1
1横浜市立大学
pp.5-9
発行日 1959年3月15日
Published Date 1959/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910804
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人類の出現と同時に発生した医療は,まもなく経験医術となり,さらに神秘的要素が加わつて魔法医術になる.自己看護から家庭看護に発展した看護は,肉親の愛情に加えて専門技術をもつ奴隷看護になり,ここに看護と医療とは病めるものにとつて大きな慰めになつた.
環境のよい土地に定住し国家を形成してすぐれた文明を創り出した古代文明国では,経験医術と魔法医術とが巧みに融合し看護についても法律的規定までが作られた.バビロニア・エヂプト・インド・古代中国,これに続くギリシア・ローマなどの国々では,それぞれ性格は異るが看護について多くの足あとを残している.自然崇拝から発した彼らの神々の信仰は,宗教以前の幼稚なものであつたが,看護と医療の上に大きな影響を与えた.
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