みるトレ
Case 63
忽那 賢志
1
1国立国際医療研究センター国際感染症センター
pp.653-654
発行日 2014年7月15日
Published Date 2014/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414103281
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Case 63
患者:50代,スロバキア人男性.
主訴:皮疹.
病歴:受診3週間前,スロバキア南部の村でダニに右腕を咬まれた.この際,ダニはダニ取り用のピンセットを用いて自分で摘除したという.しばらくして刺咬部周囲に軽度の発赤を認めたが,3~4日で自然に消退した.受診2週間前に仕事のために来日した.受診1週間前からダニ刺咬部位周辺に発赤を認めるようになったため近医を受診したが,原因不明と言われた.皮疹が徐々に拡大傾向となってきたため当院を受診した.
ROS(+):右上腕の紅斑,同部位の搔痒感,微熱,軽度の倦怠感.
ROS(-):頭痛,視力障害,嘔気・嘔吐,下痢,咳・痰,咽頭痛,排尿時違和感.
既往歴:狭心症のためステントを留置されている.
生活歴:スロバキアでの住居は森林地帯にある.喫煙なし.機会飲酒.
ワクチン接種歴:破傷風トキソイド(2012年に追加接種),狂犬病ワクチン(2012年に3回接種),ダニ脳炎ワクチンは未接種.
身体所見:体温37.1℃,脈拍75回/分,血圧143/98mmHg,呼吸数16回/分,GCS 15(E4 V5 M6).
結膜充血なし,咽頭発赤なし,甲状腺腫大なし.胸部:聴診上肺野でラ音なし,心雑音なし.腹部:平坦,軟.四肢:右上腕~前腕屈側に浸潤を触れない境界明瞭な紅斑を認め(図1),皮疹中央に痂皮を認める(図2).
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