特集 疲れとだるさ
【治療】
疲労軽減および疲労回復に有効な医薬・食品成分とは?
梶本 修身
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1大阪市立大学大学院医学研究科疲労医学講座
キーワード:
抗疲労
,
疲労回復
,
イミダゾールジペプチド
,
イミダペプチド
Keyword:
抗疲労
,
疲労回復
,
イミダゾールジペプチド
,
イミダペプチド
pp.854-857
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102033
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一般に疲労に効果がある物質や食品としては,ビタミンB1,アスコルビン酸,タウリン,カフェインなどの医薬成分や,ウナギ,ニンニクなどの栄養食品が広く認知されている.しかし,これらの成分において,ヒトに対して抗疲労効果を科学的に実証した論文はほとんどないのが現状である.カフェインは,確かに一時的に眠気を抑えることで疲労によるパフォーマンスの低下を抑制するが,効果は一時的であり摂取中止時にはリバウンドも起きやすい.また,覚醒剤は疲労感を劇的に改善する作用を有するが,これは疲労感をマスクしているに過ぎず,疲労を軽減あるいは改善するとは言い難い.
さらに,栄養状態が悪かった終戦直後の日本と異なり,現在,ほとんどの日本人は栄養状態良好にある.ゆえに,トライアスロンなど特殊な競技を除いてカロリー不足により疲労をきたすことは稀である.過去,運動前日にスタミナ食と称し焼肉やステーキなど脂肪分豊富な高カロリー食の摂取を勧めていた時代もあったが,現代の日本においては,高カロリー食を運動前に摂取しても抗疲労効果はほとんど認められない.すでに,「スタミナ食を食べて疲労を克服」は,時代錯誤といってよいだろう.
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