連載 この人に聞きたい!・5
疲労とは何か―疲労を客観的に評価する
倉恒 弘彦
1,2,3
1関西福祉科学大学健康福祉学部
2大阪市立大学医学部疲労クリニカルセンター
3東京大学大学院農学生命科学研究科
pp.666-670
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102814
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疲労感,倦怠感とは
疲労感や倦怠感は,人間にとって痛みや発熱などと同じように体の異常や変調を自覚するための重要なアラーム信号の1つであり,健康な人でも,激しい運動や長時間の労作を行った場合,また過度のストレス状況に置かれた場合などに,「だるい」,「しんどい」という感覚でそれを自覚し,体を休めるきっかけとなっている.
激しい運動や長時間の作業をしていると,体の細胞レベルではたんぱく質や遺伝子に傷が増えてくる.限界以上に増えると細胞は破壊されるので,傷を修復する必要がある.しかし,活動を続けたままでは細胞内のエネルギーをタンパク質や遺伝子の修復をするために利用できない.そこで,ヒトは疲労感の助けによって休息を取り,体を元の健康な状態に戻しているのである.
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