特集 疲れとだるさ
【治療】
慢性疲労患者の心身医学的特徴とその対応
村上 正人
1,2
,
松野 俊夫
2
,
三浦 勝浩
1,3
,
金 外淑
4
1日本大学医学部呼吸器内科
2日本大学医学部附属板橋病院心療内科
3日本大学医学部血液・膠原病内科
4兵庫県立大学看護学部
キーワード:
慢性疲労
,
ストレス
,
性格行動特性
,
職業特性
,
精神疾患
,
心身医学的治療
Keyword:
慢性疲労
,
ストレス
,
性格行動特性
,
職業特性
,
精神疾患
,
心身医学的治療
pp.850-853
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102032
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疲労とは過度の肉体的,精神的な活動により生じた独特の病的不快感と休養を求める欲求を伴う身体機構の減退状態であるといわれる1,2).しかし,肉体的な疲労と精神的な疲労の様相はかなり異なっているにもかかわらず,同じ言葉で表現されることが多く,表現方法のみでは区別はつきにくい.しかも社会のシステムや構造が急速に変化するにつれ,現代社会に生きる人びとの心理社会的ストレス要因も多様に変化しており人間の訴える疲労も複雑な様相を呈するようになった.とくに疲労の蓄積により生じる慢性疲労は現代人のライフスタイルや美徳観や価値観などに裏付けされた行動特性を伴っていることが多く,その対応には認知の転換をはかるなど臨床心理学的な視点が必要である3).病的状態である慢性疲労症候群の発症要因に何らかのウイルス感染や内分泌的あるいは免疫学的な異常がかかわっているにせよ,診断と治療のためにはその背景にある心理行動特性の認識は重要である4).
本稿では慢性疲労を訴えて心療内科を受診する患者をモデルとして,診断と治療に必要な心身医学的視点について論じてみたい.
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