特集 プライマリ・ケア医のための関節リウマチ診療のすべて
【適切に治療するために】
生物学的製剤による治療の現状
玉置 繁憲
1
1独立行政法人国立病院機構三重中央医療センター リウマチ科
キーワード:
生物学的製剤
,
機能的寛解
,
Treat to Target
,
RECONFIRM試験
Keyword:
生物学的製剤
,
機能的寛解
,
Treat to Target
,
RECONFIRM試験
pp.775-777
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102015
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治療導入を考える指標とタイミング
生物学的製剤の登場以来,関節リウマチ診療はパラダイムシフトといわれる大きな変貌を遂げている.発症早期に“window of opportunity”と表現される,抗リウマチ薬による治療が非常に有効な時期が存在することが明らかになった.この時期に生物学的製剤を含む有効性の高い治療を積極的に行うことで,高い確率で寛解に導入することが可能である.この時期は少なくとも発症後1~2年,厳密には数カ月と考えられている(early,aggressive treatment)1).また,TICORA(tight control for rheumatoid arthritis)試験が示すように,少なくとも低疾患活動性を導入維持するために,来院ごとに活動性を評価し,治療法を調整することで高い改善率と寛解率が得られることも示されている(tight control).しかしながらDAS(disease activity score)28で得られる寛解(臨床的寛解)が治療のゴールではなく,抗TNF阻害薬により画像上の関節破壊を完全に阻止することも可能となった(画像的寛解).さらに発病前と同じ状態に関節機能を回復させる機能的寛解が治療の目標となった(Treat to Target,J1).生物学的製剤導入の指標とタイミングは,日本リウマチ学会の2008年改訂「生物学的製剤使用ガイドライン」(J2)や米国リウマチ学会の勧告(2008年)が参考となるが,最新の治療戦略を考慮すると,個々の患者の適応判断と導入は経験豊富な専門医が行うことが望ましい.
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