特集 プライマリ・ケア医のための関節リウマチ診療のすべて
【適切に治療するために】
手術療法と整形外科医に紹介するタイミング―局所病態への理解と説明
金子 敦史
1
1国立病院機構名古屋医療センター 整形外科リウマチ科
キーワード:
関節リウマチ(rheumatoid arthritis)
,
整形外科手術(orthopaedic surgeries)
,
生物学的製剤(biologics)
,
治療法の説明と同意(informed consent)
Keyword:
関節リウマチ(rheumatoid arthritis)
,
整形外科手術(orthopaedic surgeries)
,
生物学的製剤(biologics)
,
治療法の説明と同意(informed consent)
pp.778-780
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102016
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局所関節に対する病態の理解と医療者としての姿勢
近年,生物学的製剤の登場により薬物療法が飛躍的に進歩した結果,疾患活動性の制御によって関節の変形や破壊の進行が抑制され,ややもすれば手術療法の必要性がなくなるような機運があるが,はたして現実的な話であろうか.筆者は関節リウマチ(RA)の日常診療のなかで,メトトレキサート(MTX)や生物学的製剤などの薬物療法は“全身病変に対する治療”とし,個々の疼痛関節に対する手術療法,関節内注入療法,さらに外用薬療法(湿布や軟膏など),各関節のリハビリテーション指導,ケアも含めて“局所病変に対する治療”と分けて考え,診療にあたっている.もちろん,生物学的製剤などの効果の高い薬剤を使用すれば局所病変の多くが改善することは実臨床で経験しているが,たとえば足第2・3趾のMTP関節病変:中足骨骨頭の足底への脱臼・亜脱臼による有痛性胼胝(ベンチと読む,いわゆるタコ)は,あくまで局所病変であり,その疼痛,歩行障害は生物学的製剤で良くなるものではない.軽症であればスピール膏の使用,足底パッドの作成,治療靴の処方を行い,頑固な疼痛が日常歩行に障害をきたしていれば手術療法を勧める.とくに前足部変形の場合,担当医が日常診療でチェックを怠り,患者自身あるいは家族が「タコは削れば楽になる」といった間違った処置を繰り返せば,不要な感染症(化膿性関節炎・骨髄炎)を併発することがある.
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