特集 医師に必要な臨床栄養学
【スペシャル・アーティクル】
運動時のエネルギーと水分補給
小清水 孝子
1
1福岡大学スポーツ科学部
キーワード:
糖質
,
グリコーゲン
,
水分補給
,
ナトリウム量
Keyword:
糖質
,
グリコーゲン
,
水分補給
,
ナトリウム量
pp.945-947
発行日 2008年11月15日
Published Date 2008/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101557
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エネルギー源としての糖質・脂質
運動時の主なエネルギー源は糖質と脂質である.運動強度が高いほど糖質へ,運動強度が低く運動時間が長くなるにつれ脂質への依存度が高くなるが,すべてが脂肪に依存することはない.
糖質はグリコーゲンとして主に肝臓と筋肉に蓄えられており,運動をすると肝臓と筋肉のグリコーゲンは減少する.一方,脂質は主に脂肪組織に蓄えられており,脂質がエネルギーを産生する際には酸素と糖質(グルコース)から作られるオキサロ酢酸が必要となる.これは長時間運動するためにもグルコースが必要であることを示している.しかしグリコーゲンの体内での貯蔵量は脂質の貯蔵量に比べて非常に少ないため,運動時間が長時間におよぶ時,糖質補給をせずに糖質が不足気味のままで運動を実施すると,疲労感や集中力がおちるなどパフォーマンスを低下させる一因となる.また,一時的に体たんぱく質を分解してグルコースを生成しエネルギーとして利用してしまう(糖新生).
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