特集 妊婦が外来に来たら
【あなたの患者が妊娠したら―内科疾患患者の妊娠相談】
C型肝炎ウイルスキャリアの妊娠
渡辺 博
1
,
西川 正能
1
,
根岸 正実
1
,
稲葉 憲之
1
1獨協医科大学産婦人科
キーワード:
C型肝炎ウイルスキャリア
,
母子感染
,
HCV-RNA
,
帝王切開
,
脱キャリア化
Keyword:
C型肝炎ウイルスキャリア
,
母子感染
,
HCV-RNA
,
帝王切開
,
脱キャリア化
pp.238-240
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101374
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Case
3度の妊娠・出産で異なった経過をたどったC型肝炎ウイルスキャリアの症例
36歳の3回経産婦.27歳で第1子を妊娠し,妊娠初期のスクリーニング検査でHCV抗体陽性と判明した.HCV-RNA陽性のため妊娠19週に前医より紹介となる.既往歴で輸血歴や手術歴はなく,感染経路は不明であった.genotype 2a,分娩前のHCV-RNAは510×103 IU/mlであった.妊娠40週1日経腟分娩で男児を出生した.第1子は出生後よりHCV-RNA陽性であり母子感染が成立していたが,2歳8カ月後以降HCV-RNAが陰性化した.出産後母親の肝機能異常が出現し,消化器内科ではインターフェロン治療を勧めたが,治療前に次子妊娠を希望して30歳で第2子を妊娠・出産した.第2子出産直前のHCV-RNAは560×103 IU/mlであったが,母子感染は成立しなかった.第2子出産後インターフェロン治療を行い,母親の血中HCV-RNAは陰性化した.33歳で第3子を妊娠したが,妊娠中もHCV-RNA陰性であり,児への感染はみられなかった.
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