特集 妊婦が外来に来たら
【あなたの患者が妊娠したら―内科疾患患者の妊娠相談】
慢性腎炎患者の妊娠
柘植 俊直
1
,
富野 康日己
1
1順天堂大学医学部腎臓内科
キーワード:
高血圧
,
ガイドライン
,
IgA腎症と妊娠
Keyword:
高血圧
,
ガイドライン
,
IgA腎症と妊娠
pp.234-237
発行日 2008年3月15日
Published Date 2008/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414101373
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Case
出産時にHELLP症候群を起こした慢性腎炎患者の1例
患者:40歳,女性.
現病歴:慢性腎炎(腎生検未施行)で経過観察中に挙児希望があり,尿蛋白1g/日前後,クレアチニンクリアランス70ml/分で安定していたため,妊娠可能と判断した.40歳で妊娠が判明し,以後産科と腎臓内科で経過観察を行っていた.妊娠後期に入り,尿蛋白の増加,腎機能の悪化を認めたため入院とし,38週で誘発分娩を行った.出産は無事に終了し健康な児が得られたが,翌日肝機能障害,血小板,脳出血による意識障害を認め,HELLP(Hemolysis,Elevated Liver enzyme,Low Platelet count)症候群と診断された.
慢性腎炎のガイドラインによる妊娠許可基準では妊娠の継続は可能であると考えられたが,妊娠後期に腎機能の低下を含めて腎障害が強く出現した例である.腎炎患者の妊娠は腎生検組織を含めて包括的な判断を必要とする.
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