特集 健診データで困ったら―よくある検査値異常への対応策
【肝臓】
a:肝機能が正常でB型肝炎の抗原が陽性/b:肝機能が正常でC型肝炎の抗原が陽性,と言われた
八橋 弘
1
1国立病院長崎医療センター/臨床研究センター
キーワード:
HBs抗原
,
HBVDNA量
,
HCV抗体
,
HCV-RNA
,
血小板数
,
ALT値
Keyword:
HBs抗原
,
HBVDNA量
,
HCV抗体
,
HCV-RNA
,
血小板数
,
ALT値
pp.370-372
発行日 2012年5月15日
Published Date 2012/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414102494
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無症候性キャリアー(Asymptomatic Carrier,J1)
ウイルスが血液中に存在するも持続的にALT値が正常を示す例を,無症候性キャリアー
(Asymptomatic Carrier)という.一方,肝炎ウイルスが存在しALT値が持続的な異常値を示す例を慢性肝炎という.ALT値の異常は肝細胞の破壊を反映することから,ALT値の変動が長期に持続する場合には肝硬変,肝がんへと進展する可能性がある.確かに,慢性肝炎に比較すると無症候性キャリアーでは病態の変化が軽度のものが多いも,ALT値持続正常例,すなわち無症候性キャリアーのなかにも肝硬変進展例が存在することがあり,肝がんを併発する例も含まれる.とくにHBs抗原陽性の肝がん症例の約30%は無症候性キャリアーであり,ALT持続正常例のなかから予後不良の症例を的確に見出す必要がある.
一方,ウイルス性慢性肝疾患患者の診断,病態と予後を的確に診断するためには,各種肝炎ウイルスマーカーの意味を正しく理解しなければならない.B型肝炎,C型肝炎に関連するウイルスマーカーは数多くあり,通常は複数の測定結果を組み合わせて評価する必要がある.肝炎ウイルスマーカー臨床的意義をまとめたものが表1である.
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