特集 アレルギーの臨床―第一線での診断と治療
食物アレルギーの診断と治療
河原 秀俊
1
,
大矢 幸弘
2
1国立成育医療センター総合診療部
2国立成育医療センター総合診療部アレルギー科
キーワード:
食物アレルギー
,
IgE抗体
,
アナフィラキシー
,
食物負荷試験.
Keyword:
食物アレルギー
,
IgE抗体
,
アナフィラキシー
,
食物負荷試験.
pp.140-143
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100540
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Case
卵摂取でアナフィラキシーを起こした1患児例
患 者:1歳,女児.
既往歴:アトピー性皮膚炎にて加療中.
家族歴:母がアトピー性皮膚炎,兄が気管支喘息,アトピー性皮膚炎.
現病歴:アトピー性皮膚炎で加療中.6カ月時のアレルギー検査(血液検査)で卵白特異IgE抗体が陽性(スコア4)であり,卵摂取制限を行っていた.1歳時,誤ってマヨネーズをなめてしまい,5分後より顔面膨疹を伴う紅斑,咳嗽・喘鳴が出現,さらに嘔吐し,ぐったりしたため,救急車にて来院.血圧低下も認めたためすぐにエピネフリンの筋注を行い,その後抗ヒスタミン剤,ステロイド静注,さらに気管支拡張剤の吸入を行った.その後バイタル安定し,治療開始後1時間で症状軽快した.
食物アレルギーとは
食物により引き起こされる生体にとって望ましくない反応をadverse reaction to foodと呼び,このうち免疫学的機序によるものを食物アレルギーという(図1).仮性アレルゲンとは,アレルギー反応によらない,すなわち食物自体にヒスタミン・セロトニンなどかゆみ・蕁麻疹などを誘発する成分が含まれており,この成分により症状が誘発されるものをいう.食物アレルギーとの鑑別が困難な場合があるが,安易に食物アレルギーと診断してはならない.
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