特集 アレルギーの臨床―第一線での診断と治療
小児のアトピー性皮膚炎に必要なアレルギー検査と治療
永倉 俊和
1
1用賀アレルギークリニック
キーワード:
チリダニ
,
猫アレルゲン
,
皮膚のバリアー機能
,
ステロイド外用薬
,
タクロリムス(プロトピック(R))軟膏.
Keyword:
チリダニ
,
猫アレルゲン
,
皮膚のバリアー機能
,
ステロイド外用薬
,
タクロリムス(プロトピック(R))軟膏.
pp.144-148
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100541
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Case
喘息,アレルギー性鼻炎,アレルギー性結膜炎,アトピー性皮膚炎の原因が犬アレルゲンによる1例
患 者:15歳,女児.
既往歴:4歳時から喘息,8歳時からアレルギー性鼻炎.
現病歴:喘息は軽快し,季節の変わり目にアレルギー性鼻炎の症状がみられていた.主治医に相談せず,阪神淡路大震災の時に飼い主が不明となったゴールデンレトリバーの里親になった.3~4年目から上記症状が自宅で出現するようになった.全寮制の学校に通学しているために,週末帰宅すると数時間以内に喘息発作が出現し,半日後には皮膚炎が悪化する.犬は今や家族の一員のため手放せず困っている.
小児のアトピー性皮膚炎はこの20年間で急増した.この疾患に対する医学的な知識がその増加に追いついていないために,さまざまな問題が起きるようになった.それらは医師による見解,治療方針の違いに困惑する患児の保護者の当惑と不安,そして民間療法の増加である1).
図1には,アトピー性皮膚炎の加齢に伴う原因の推移について一般的な傾向を示した.乳幼児期においては,確かに食物が関与している場合がみられる.しかし,図1に示すように,この年齢のアトピー性皮膚炎のすべてが食物アレルギーで説明されるわけではない.むしろ厳密な食物アレルギーの診断を行えば,アトピー性皮膚炎における食物アレルギーの頻度はそれほど多くないといえる.
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