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日本麻酔科学会第72回学術集会講演特集号 招待講演
小児の食物アレルギー・アナフィラキシーの最新情報
Recent Advances in Pediatric Food Allergies and Anaphylaxis
佐藤 さくら
1
Sakura SATO
1
1国立病院機構相模原病院臨床研究センターアレルギー性疾患研究部
キーワード:
アドレナリン
,
アナフィラキシー
,
食物アレルギー
,
薬物アレルギー
Keyword:
アドレナリン
,
アナフィラキシー
,
食物アレルギー
,
薬物アレルギー
pp.S110-S119
発行日 2025年11月20日
Published Date 2025/11/20
DOI https://doi.org/10.18916/masui.2025130016
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はじめに
近年,何らかのアレルギー疾患をもつ子どもは着実に増加しており,なかでもアナフィラキシーや食物アレルギー,アレルギー性結膜炎・鼻炎をもつ児の増加が著しい。日本学校保健会の令和4年度調査によると,アレルギー性鼻炎17.5%,食物アレルギー6.3%,アナフィラキシー0.62%と,いずれも過去最高の有病率を示している1)。小児のアレルギー疾患の中でも,食物アレルギーとアナフィラキシーは麻酔科医にとっても重要な疾患である。これらの疾患を有する患児では,医薬品に含有される食物成分による予期しないアレルギー反応のリスクがあり,時として生命に関わる重篤なアナフィラキシーを引き起こす可能性があるためである。またアナフィラキシーについては,2022年に診断基準が更新され,より実用的な診断が可能となった2)。小児では成人と異なり食物が主要な誘因となるが,医療現場では薬物によるアナフィラキシーへの備えも欠かせない3)。
本稿では,麻酔科医が日常診療で遭遇する可能性の高い小児の食物アレルギーとアナフィラキシーについて,最新の疫学情報,診断・治療のエッセンス,発症予防の最新情報,そして実際の周術期管理における注意点を整理し,麻酔科医に知ってもらいたい小児の食物アレルギー・アナフィラキシーに関する実践的な情報を提供することを目的とする。

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