診断推論研究の最前線[1]
診断推論のプロセス
大西 弘高
1
1Medical Education and Research Unit International Medical University
pp.330-334
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100323
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【Case】
浅草大学医学部4年生の江戸川さんは,古くから地域医療に携わってきた岩野先生の診療所に時々見学しに行っていました.江戸川さんが最も関心を持っているのは,「岩野先生がどのように患者の問題を解決していくのか」という点でした.とくに,外来の様子を見学していると,診断はいとも簡単に得られているかのようでしたが,江戸川さんはその手順を知りたいと思いました.たとえば,前日からの鼻汁,咳,発熱を主訴とする患者が来た場合,江戸川さんにも風邪のようだという診断はできるものの,他に何を考えればいいのかがわかりませんでした.また,1カ月前から続く全身怠を訴えていたうつ病の患者の場合,江戸川さんには全く見当がつきませんでしたし,岩野先生がその診断を下したプロセスや理由もわかりませんでした.ところが,江戸川さんがそのうつ病の患者について岩野先生がどのように診断したのかという質問をしたところ,岩野先生も,「う~ん,そうだなあ,どうやって診断してるんだろうなあ?!」との答え.江戸川さんは,本人が方法を説明できないのに診断という作業が頭の中でなされていることに,大変関心を持ち始めました.
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