増刊号特集 膀胱全摘除術と尿路変向術のすべて
Ⅴ 手術手技
3.尿路変向術
(2)尿禁制型
インディアナパウチ式尿路変向術
荒井 陽一
1
Yoichi Arai
1
1倉敷中央病院泌尿器科
pp.159-168
発行日 1998年3月30日
Published Date 1998/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902284
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はじめに
1982年に発表されたコックパウチ術式によって,尿禁制型尿路変向術が一躍脚光を浴びることとなるが,continent urinary reservoirそのものの歴史はさらに古い。インディアナパウチの原型である回盲部を用いたreservoirは,1950年にすでにGilchristら1)によって報告されている。しかし,低圧系のreservoir作製や失禁防止機構などに未解決の問題があり,また間欠的導尿法の概念が確立されていなかったために普及するにはいたらなかった。
インディアナパウチは,基本的にはGilchristらの原法に腸管の脱管状化という低圧系のパウチ作製を取り入れて発展させたものである2)。本法の特徴は,終末部回腸の縫縮(plication)による失禁防止と粘膜下トンネル法による逆流防止というきわめて単純な装置を利用していることである3)。したがって,手術術式としてもコックパウチほどの煩雑さはない。この単純さゆえに腸重積法にみられる脱出(prolapse)などの重大な機能不全が起こりにくい4,5)。また,パウチ内腔にstapleなどの異物を使用しないため,これに起因する結石形成の危険も少ないことが期待される。
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