交見室
インディアナ パウチをめぐって,他
岡田 謙一郎
1
1福井医科大学
pp.1072-1073
発行日 1992年12月20日
Published Date 1992/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900763
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本誌46巻7号掲載の岡田裕作・滋賀医大助教授の手術手技「インディアナ パウチ」を興味深く拝読した.現在この術式でつい最近13例目を無事終了し,しばらく蓄尿型尿路変更はこれでいこうと考えているわが教室にとって,豊富な経験をもとに書かれたこの論文は参考となる点は実に多い.謝意とともにとくに敬意を表したい.動物実験からスタートされ,おそらく本邦初であったコック パウチの試み,その後数多くの臨床経験を積まれ蓄尿型代用膀胱のわが国における権威者の一人となられたご苦労を,かつて同門の徒としてよく知るからである.数少ない経験でもって,手術手技そのものを云々するのはおこがましいので,以下自験例から得た本術式を巡る雑感を述べてみたい.
私どもがコック パウチ12例経験の後,本術式に移行したのは,かつて先生もそうであったように,コックにおける術式の煩雑さ(time consumingであるという意味で)と,異物結石の形成などの晩期合併症のためである.しかし,初期の4例は術後ことごとく創は感染・哆開し,うち2例は膿培養でE.faecalisが検出された.これは回腸のみを対象としたコック パウチではなかった経験であり,大腸内菌叢による汚染とみられた.そこで,術時の大腸内菌叢の培養とともに術野周囲への汚染に十分に留意するよう徹底するとともに,術前の腸管プレパレーションの方法を従来のそれと大幅に変更した.
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