特集 縫合・吻合法のバイブル
Ⅲ.部位(術式)別の縫合・吻合法
10.その他
腸管利用による尿路変向術におけるパウチの縫合
橘 政昭
1
Masaaki TACHIBANA
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科
pp.365-367
発行日 1998年10月30日
Published Date 1998/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407903421
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
手順
腸管利用尿路変向術におけるパウチの作製は,通常回腸あるいは回腸ならびに盲腸・上行結腸を利用した術式が選択されることが多い.この際,低圧のパウチを作製することがこの術式の成績向上に必須の要点となる.したがって,管状の腸管構造を一度破壊し,都合よい形で再び縫合する必要がある.例えば,回腸を利用した回腸パウチを作製する際には腸間膜の反対側の腸管壁を完全に切開し,これを再び縫合するわけである.この作製されたパウチは内に尿を貯留するため,縫合に使用する縫合糸は結石形成を予防する上で吸収糸を使用する必要がある.
縫合方法としては液体を貯留するパウチを作製する必要性からwater tightな縫合が要求される.この観点から通常は連続縫合を行う.多くの場合,その縫合は長い距離になり,時間短縮のための幾つかの工夫が必要である.その1つとして縫合部を2つの部分に分け,2チームで行う工夫がある.他に直針を使用して手縫いのような方法をとること,あるいは自動縫合器による縫合などの工夫が挙げられる.後で詳しく述べるが,最近では吸収性のsurgical staplerが開発され(図1),これを使用することにより大幅な時間短縮が可能となっている.縫合は粘膜粘膜,漿膜筋層の2層縫合を原則とし,縫合糸は粘膜粘膜は3-0の吸収性糸としてpolyglycolic acid(PGA)を使用し,漿膜筋層は2-0 PGAによる連続縫合を行うことが通常である.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.