増刊号特集 泌尿器科治療薬マニュアル—私の処方箋
疾患別薬剤投与プロトコール
腫瘍
温熱併用化学療法
窪田 吉信
1
1横浜市立大学医学部泌尿器科教室
pp.100-101
発行日 1993年3月30日
Published Date 1993/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413900858
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温熱併用化学療法の現況
癌治療目的に温熱療法(ハイパーサーミア療法)を放射線療法や制癌剤化学療法と併用すると,これら治療法自体の抗腫瘍効果のみならず併用での特有の効果と,放射線や化学療法に抵抗性の腫瘍細胞への効果も期待できる。泌尿器科領域では膀胱癌・前立腺癌,腎癌への応用が試みられている。制癌剤投与に温熱療法(通常は42゜〜45℃の範囲)を併用した場合,薬理学的には,薬剤の分布の変化と不活性過程の変化が起こる。腫瘍の局所では,温度上昇に伴って,血流量,血液分布,酸素分圧,pHなどが変化し,また,個々の癌細胞では,細胞膜のポンプ機構や様々な修復機構が変化する。これらの総合した結果,制癌剤の治療効果が高まり,薬剤抵抗性の癌細胞に対しても治療効果が発現することになる。
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