今月の主題 肝硬変と肝癌
肝癌の治療
温熱療法
福田 善弘
1
,
永田 靖
2
,
平岡 真寛
2
1京都大学医学部・第2内科
2京都大学医学部・放射線科
pp.1620-1622
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221101
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近年,癌に対する温熱療法(Hyperthermia:HT)に大きな関心と期待が寄せられている.HTは患部の温度を人為的に上昇させることにより,癌細胞を壊死させるものであり,その拠りどころとしているのは,(1)細胞レベルでは42℃以上の加温により生存率が急激に低下するが,この傾向は正常より癌細胞で強い.(2)癌組織では正常組織に比して,その環境(低栄養,低酸素,低pH),血管構築の特殊性により加温され易く,したがって癌が選択的に壊死に陥る,などである.HTは従来対象が表在性の癌に限られていたが,最近加温装置の改良,開発により深部にまで均一加温が可能となり,深部癌にも適応可能となった1).筆者らは当初より原発性肝細胞癌(肝癌)での局所HTに取り組んできた2, 3)ので,その臨床成績の現状を述べ,併せて今後の問題点にも触れ,HTを肝癌における集学的治療の1つの柱として将来につなげたい.
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