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特集(増刊号の)1 尿路の外傷と損傷
Ⅰ総論
外傷と排尿障害—特に神経因性膀胱について
Trauma and Disturbances of Urination : Neurogenic Bladder
深井 博志
1
Hiroshi Fukai
1
1東京慈恵会医科大学脳神経外科学教室
1Department of Neurosurgery, the Jikei University School of Medicine
pp.29-39
発行日 1968年12月25日
Published Date 1968/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200562
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はじめに
外傷に起因する排尿障害の臨床像は様々であるが,成因別には排尿に直接関与する(腎)・膀胱・尿路損傷に由来するものと,排尿に関与する中枢および末梢神経支配の障害に起因するものとに分けられる。後者に由来する排尿障害が神経因性膀胱(障害) neurogenic disorders or urinary bladder,(neurogenic bladder)と総称され)臨床的には脊髄損傷に伴うことが多いので脊髄膀胱cord bladderで代表される。この神経因性膀胱の臨床像は神経障害の部位,程度,経過年月とこれに伴う尿路合併症などにより複雑多岐にわたる臨床症状を示すので,臨床像の分類把握は実際の症例では容易でなく,神経因子以外の排尿障害をきたす器質的疾患との鑑別診断はもとより,治療の立場からも尿路管理に困難があり,かつまた極めて難解な諸問題をも蔵している。ここでは泌尿器科の立場からの解説は他にゆずるとして1〜7),脳神経外科医の立場から主に外傷に起因する神経因性膀胱について述べよう。
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