特集 皮膚泌尿器科診療の進歩〔2〕
神経因性膀胱
落合 京一郞
1
1東京大学
pp.1218-1227
発行日 1955年12月25日
Published Date 1955/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201583
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神経因性膀胱(neurogenic bladder)とは,脊髄及び大脳と膀胱を結ぶ神経伝導路の連絡がどこかで切れたため正常の膀胱機能が障害されたものを総括する病名で,正確には神経因性膀胱機能障害(neurogenic dysfunction of bladder)という意味である。この神経因性膀胱の代表的な1つである脊髄膀胱(脊髄の障害によるもの,cord bladder)が同意語として使用されたこともあり,またその他にも膀胱麻痺(paralysis of bladder)とか截癱膀胱(paraplegic bladder)などの名称もあるが,現在ではこれらを一括した神経因性膀胱という病名が一般に用いられている。
神経因性膀胱の病像は,以下に述べるように排尿機能の障害(外括約筋部機能をも含めて),膀胱充満感の減退乃至欠如によつて特長づけられているが,神経障害の部位,程度,経過年月とこれに伴う併発症乃至続発症などによつて極めて複雑な臨床症状を呈する。また一層錯雑した困難な問題は神経因性膀胱の治療という点で,多くが未解決のまゝ残されている。本文ではこれらについて,臨床的な立場から概説することとする。
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