増刊号 Common Disease 200の治療戦略
腎・尿路疾患
神経因性膀胱
保坂 義雄
1
,
河邉 香月
2
1東京大学医学部泌尿器科(分院)
2東京大学医学部泌尿器科
pp.497-498
発行日 1995年11月30日
Published Date 1995/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904175
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疾患概念と病態
膀胱ないし排尿関連臓器の支配神経異常に起因する膀胱の機能障害で,二次的に膀胱の形態変化や上部尿路の障害なども生じてくる.支配神経は骨盤神経(主として副交感神経系)と下腹神経(交感神経系),陰部神経(主として体性神経)で,より上位の中枢神経や交感神経幹,関連する神経叢なども含まれ,それぞれに遠心性および求心性の経路がある.原因は炎症,変性,血管障害,腫瘍,先天異常,外傷など様々であるが,症状は原因でなく発生部位によって想定できる.しかし,実際には部位が特定できず,症状・経過や検査所見から診断することが多い.いずれの場合でも主症状は排尿障害が多く,排尿困難や尿失禁などの訴えがある.他の神経障害を合併することも稀でない.長期の経過をたどることが多く,慢性的な膿尿や膀胱の変形,さらには腎障害を生じることも珍しくない.
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