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編集後記
大家 基嗣
pp.704
発行日 2010年8月20日
Published Date 2010/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102111
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病院が新築あるいは改装されると患者さんが増えるということは定説のようです。東京都渋谷区にある日赤医療センターも今年の1月に新築され,硝子張りの白亜の建物は日赤病院の総本山というべき威容を誇っています。泌尿器科部長の冨田京一先生とお話しする機会があり,尋ねてみたところ,確かに患者さんは増えているそうです。「広尾駅からは少し距離があり,坂を登らなければならないので,年配の患者さんには少しきついのではないですか?」と私が尋ねますと,「堀田坂のことですか? あの坂はたいしたことはないですよ。先生,別所坂って知っていますか? あまりに急な勾配で,車両通行禁止です。恵比寿駅から東京共済病院に行く途中にあるのですが,あの坂はキツイ」と冨田先生はおっしゃいました。
皆様も気付いていらっしゃると思いますが,東京は至る所に坂があり,その多くに名前が付けられています。立て杭に名称のいわれが書いてあり,通りすがりに説明を読むと,江戸時代にタイムスリップした気がします。これまで私は,特別の関心を持って東京の坂を観察してきました。車が通れないほどの急な坂があるのなら,住んでいる人々が生活に困るであろうし,江戸時代でも土地の開墾が行われていたはずで,どうも納得がいきません。訪ねてみることにしました。
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