書評
「イラストレイテッド外科手術 第3版 膜の解剖からみた術式のポイント」―篠原 尚,水野惠文,牧野尚彦 著
坂井 義治
1
1京都大学大学院・消化管外科学
pp.692
発行日 2010年8月20日
Published Date 2010/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102108
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篠原尚先生・他著による『イラストレイテッド外科手術』第3版を手にした。第1版,第2版ともに購入したものの残念ながらすでに私の手元にはない。研修医に貸したまま戻ってこないのである。彼らがボロボロになるまで毎日この本で手術の予習・復習をしている姿をみるにつけ,“自分で買えよ”とはいえず,そのままになってしまった。年代を越えてこれだけ愛読されている外科手術書が他にあるだろうか?
あらためて第3版をめくる。時代の趨勢で器械吻合のイラストが増えているものの,胃癌手術の際の十二指腸切離・吻合や脾臓脱転操作のイラストをみると,私自身も県尼(兵庫県立尼崎病院の略称)で指導を受けた牧野尚彦先生の手術操作が蘇る。それほどに著者篠原先生の感性がイラストに凝集,注入され,写真とは異なる“実際”を描写しているともいえる。
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