特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【膀胱炎】
4.下肢拘縮のために開脚することができない高齢男性患者が血膿尿を訴えています。対処と処方について教えてください。
高橋 悟
1
1日本大学医学部泌尿器科
pp.26-27
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101380
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1 診療の概要
高齢男性が血膿尿を呈する可能性がある疾患としては,(1)尿路結石,(2)尿路感染症,(3)尿路上皮癌(腎盂尿管癌あるいは膀胱癌),(4)前立腺肥大症,(5)前立腺癌などが考えられる。鑑別診断をする際に症状として大切なのは,発熱,排尿時痛,腰背部痛,排尿症状の有無である。発熱があれば,腎盂腎炎や前立腺炎が疑われる。排尿時痛では,膀胱炎,前立腺炎,尿道炎,あるいは膀胱癌(上皮内癌)を疑う。腰背部痛があれば,尿路結石や水腎症を併発した尿路上皮癌を疑うべきである。排尿症状がある場合は,前立腺肥大症や前立腺癌を考えるべきである。
また,最初に行うべき検査としては,非侵襲的検査である経腹式超音波断層検査(エコー検査)が挙げられる。腎結石や尿管結石,尿管癌による水腎症の有無,膀胱腫瘍あるいは膀胱結石を示唆する所見がないかどうかがわかる。さらに,前立腺の肥大や癌を疑わせる所見(低エコー病変)の有無を知ることができる。以上のように,症状とエコー検査所見を併せて,考えられる疾患を絞り込む。そして上部尿路結石が疑われた場合は,排泄性腎盂尿管造影を行い,確定診断を得る。尿路感染が考えられる場合は,血算やCRPを測定し,炎症反応の有無と程度を評価する。また尿培養で原因菌を明らかにして抗菌剤治療を行う。
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