小さな工夫
開脚困難な患者にAnterior TVMを施行する方法
西田 智保
1
,
丹司 望
1
1愛媛大学大学院医学系研究科泌尿器制御学分野
pp.874-875
発行日 2011年10月20日
Published Date 2011/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102517
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TVM(tension-free varginal mesh)手術は,本邦では2005年より開始され,骨盤臓器脱の標準術式として広まりつつある。手術の体位は,大腿部を腹側に屈曲させた砕石位をとることで,閉鎖神経や閉鎖血管群の損傷を回避でき,安全に閉鎖孔より穿刺ニードルを用いて骨盤内の靱帯に穿刺,メッシュを留置することが可能となる。しかし,変形性股関節症や人工股関節など開脚困難な症例では術野の展開が難しく,手術困難であり,実際に手術を行った報告もない。今回われわれは,左変形性股関節症患者(図1)に対し,Anterior TVM(A-TVM)を安全に施行し得たので,工夫した点を以下に示す。
通常,高位砕石位とすることで術野を広く展開でき,術者と助手が並んで術野を共有することができるが,開脚困難な症例では術野が狭くなる。今回われわれが経験した症例では,左側の開脚困難があり,術者のスペースしか確保できなかったため,助手は開脚困難な足を越えて患者左側から介助を行った。そうすることにより,助手が術野を目視できない不自由さはあったが,術者が操作できるスペースは確保され,腟壁の剝離は容易であった。
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