特集 ここが聞きたい―泌尿器科外来における対処と処方
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【膀胱炎】
4.下肢拘縮のために開脚することができない高齢男性患者が血膿尿を訴えています。対処と処方について教えて下さい。
山口 聡
1
1旭川医科大学医学部泌尿器科
pp.24-28
発行日 2005年4月5日
Published Date 2005/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413100212
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1 診療の概要
設問のような相談は,しばしばリハビリ施設や老人介護施設から寄せられ,泌尿器科医師にとってその取り扱いに迷うことも少なくない。このような患者のほとんどは,脳性麻痺などの神経疾患や脳血管障害などの後遺症により,長期臥床を余儀なくされている。何らかの排尿障害の合併も当然予想されるが,通常,それまでに専門医の診察を受けていないことが多い。また施設によっては患者の搬送が困難であり,容易に来院できない例にも遭遇する。
これらを踏まえて,通常の患者と同様に診療することが基本であるが,患者によっては一般の診療ステップを踏めないこともしばしばである。また苦労して診断の確定に至っても,患者の社会的背景などにより,根本的な治療が選択できないことも多い。その際は,対症的に処置しつつ,無理のない範囲で診療を進めざるを得ない。このように,標準的な治療そのものが必ずしも患者のQOL改善に結びつかないことがこれらの患者の特殊性ともいえる。したがって,患者個々の状態を慎重に判断して,その時々で最も適切な方法を選択することが必要である。
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