特集 泌尿器科外来ベストナビゲーション
1.尿路・性器の炎症性疾患
■非特異性感染症
【膀胱炎】
3.排尿痛,頻尿を訴えている間質性膀胱炎が疑われる女性患者です。消炎鎮痛薬では除痛効果が十分ではありません。対処と処方について教えてください。
高橋 悟
1
1日本大学医学部泌尿器科
pp.22-25
発行日 2008年4月5日
Published Date 2008/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101379
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1 診療の概要
間質性膀胱炎とは,『間質性膀胱炎診療ガイドライン』1)によれば,「膀胱の非特異的な慢性炎症を伴い,頻尿・尿意亢進・尿意切迫感・膀胱痛などの症状を呈する疾患」とされる。上記の症状は,排尿後には軽減・消失することが多く,膀胱の知覚が亢進した状態を反映していると考えられる。症状の中で最も特徴的なものは膀胱痛であるが,膀胱痛を認めない症例も少なくないことに注意が必要である。わが国における各症状の頻度は,頻尿90.7%,尿意切迫感が61.6%と高頻度であるのに対して,膀胱痛は46%と半数以下であった1)。
症状は一定せずに寛解と増悪を繰り返し,自然に改善する場合もある。尿検査は多くの場合に異常を認めない。尿沈渣で赤血球や白血球を認める場合は,尿路上皮癌や感染との鑑別のために尿細胞診や細菌培養を行う。排尿記録では,排尿回数の増加,1回排尿量の低下(200ml以下など)を認める。客観的な診断基準としては,膀胱鏡検査が最も信頼性が高い。血管増生,ハンナー潰瘍,瘢痕,水圧拡張後の出血などの所見を認めることが多い。膀胱生検で上皮内癌を否定することは意義があるが,間質性膀胱炎に特異的な所見はなく必須ではない。現在,間質性膀胱炎について確立した診断基準はないが,臨床的な診断基準は,表1のとおりである。
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