Japanese
English
症例報告
バリシチニブ内服が奏効したTNF-α阻害薬誘発性掌蹠膿疱症様皮疹の1例
Remission of anti-tumor necrosis factor-α antibody-induced palmoplantar pustulosis with baricitinib
上野 彩夏
1
,
金子 栄
1
,
松本 香奈枝
1
,
角田 佳子
2
Ayaka UENO
1
,
Sakae KANEKO
1
,
Kanae MATSUMOTO
1
,
Yoshiko SUMIDA
2
1益田赤十字病院皮膚科
2益田地域医療センター医師会病院リウマチ科
1Division of Dermatology, Masuda red Cross Hospital, Masuda, Japan
2Division of Rheumatology, Masuda Regional Medical Center Medical Association Hospital, Masuda, Japan
キーワード:
バリシチニブ
,
TNF-α阻害薬
,
関節リウマチ
,
掌蹠膿疱症様皮疹
,
paradoxical reaction
Keyword:
バリシチニブ
,
TNF-α阻害薬
,
関節リウマチ
,
掌蹠膿疱症様皮疹
,
paradoxical reaction
pp.217-222
発行日 2024年3月1日
Published Date 2024/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412207221
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要約 67歳,女性.51歳発症の関節リウマチに対し64歳よりTNF-α阻害薬のゴリムマブにて加療していた.67歳時に掌蹠の紅斑と膿疱,右下腿の紅斑が出現し,拡大するため当院を紹介受診した.TNF-α阻害薬によるparadoxical reactionも考えゴリムマブを中止し,ステロイド/ビタミンD3配合薬の外用を開始したが皮疹の増悪を認めた.掌蹠膿疱症様の皮疹であったためグセルクマブの投与に切り替え,2回の投与を行ったが,皮疹は不変,一部は悪化したため,グセルクマブを中止し,バリシチニブの投与に変更した.紅斑は速やかに軽減したが,変形の改善には半年の投与が必要であった.バリシチニブは関節リウマチにも保険適用のあるJAK阻害薬であり,paradoxical reactionに関与するとされているIFNも抑えるため,有効であったと考える.通常は薬剤中止や変更で改善することの多いparadoxical reactionだが治療抵抗性のこともある.そのようなときはJAK阻害薬が有効な治療選択肢となる可能性が示唆された.
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