Japanese
English
症例報告
ATP2C1遺伝子に新規変異を同定したHailey-Hailey病の1例
A case of Hailey-Hailey disease with a novel mutation in the ATP2C1 gene
川上 かおり
1
,
下村 裕
1
Kaori KAWAKAMI
1
,
Yutaka SHIMOMURA
1
1山口大学大学院医学系研究科皮膚科学講座
1Department of Dermatology, Yamaguchi University School of Medicine, Ube, Japan
キーワード:
Hailey-Hailey病
,
家族性良性慢性天疱瘡
,
ATP2C1
Keyword:
Hailey-Hailey病
,
家族性良性慢性天疱瘡
,
ATP2C1
pp.755-759
発行日 2021年9月1日
Published Date 2021/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206465
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
要約 57歳,男性.41歳時から体幹,四肢,腋窩,鼠径部などに夏季に増悪する紅斑,水疱,びらんが出現し,軽快増悪を繰り返していた.患者の父親もHailey-Hailey病だった.皮膚生検組織では表皮内の裂隙形成と棘融解細胞がみられたが,蛍光抗体直接法で表皮細胞間への免疫グロブリンおよび補体の沈着を認めなかった.患者の末梢血DNAを用いて遺伝子検査を行った結果,ATP2C1遺伝子のエクソン7にアミノ酸置換をきたす塩基置換をヘテロ接合型で同定したため,家族歴・臨床所見ともあわせて家族性良性慢性天疱瘡(Hailey-Hailey病)と確定診断した.同アミノ酸置換はわれわれが調べえた限りでは過去に報告されておらず,新規のミスセンス変異と考えられた.自験例のように遺伝子変異を同定することにより,将来的に遺伝子治療・再生医療を行う際に患者にとってきわめて重要な情報を提供しうると考える.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.