--------------------
あとがき
大山 学
pp.366
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412206319
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
「巨星墜つ」という言葉があります.著名人の訃報を耳にしてもその言葉を心から実感することはなかなかないのですが今回ばかりは違いました.とても悲しく,また残念なことですが,北海道大学大学院医学研究科皮膚科学分野 名誉教授 清水 宏先生が先日ご逝去されたのです.謹んで哀悼の意を表したいと思います.最近はご体調がすぐれないとのことを噂では伺っておりましたが,これまで何度も不死鳥のごとく復活されてきたお姿を拝見しており,先生ならどのような苦境であっても絶対乗り越えられると信じておりましたのでいまだに信じられない思いです.私にとって(そして多くの先生方にとって)「憧れの皮膚科医」であり続けた先生の訃報は,まさに耳を疑いたくなるものでした.
私は清水先生が慶大皮膚科にご在籍されたうちの5年間,ちょうど私がフレッシュマンからオーベンであった時代にご指導いただきました.最初の英語論文をご指導くださったのも清水先生です.当初,邦文誌に投稿予定で書きはじめたものの,なかなか書き上げることができなかった私でした.「まだか」「まだか」と尻を叩かれるうちに,いつの間にやら「もういっそのこと英語で書きなさい」(正直,その理論は訳がわかりません.でもすっかり乗せられました.これぞShimizu流ともいえます)ということになり,結局はビギナーにしては立派すぎる英文誌に掲載されるまでご指導くださいました.先生が人をやる気にさせる天才的方法論を確立されていたことは間違いなく,私のような体験をされた先生方は数多くいらっしゃることでしょう.
Copyright © 2021, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.