Japanese
English
症例報告
フタトゲチマダニ幼虫による多数刺咬症の1例
A tick-bite case infested with numerous larval Haemaphysalis longicornis ticks
小谷 紘史
1
,
谷口 隆志
1
,
大塚 勤
1
,
矢野 泰弘
2
Hirohito KOTANI
1
,
Takashi TANIGUCHI
1
,
Tsutomu OTSUKA
1
,
Yasuhiro YANO
2
1国際医療福祉大学病院皮膚科
2福井大学医学部病因病態医学講座医動物学領域
1Department of Dermatology, International University of Health and Welfare Hospital, Nasushiobara, Japan
2Department of Pathological Science, Faculty of Medical Science, University of Fukui, Fukui, Japan
キーワード:
フタトゲチマダニ
,
マダニ多数刺咬症
,
幼虫
,
除去法
,
フェノトリン5%液
Keyword:
フタトゲチマダニ
,
マダニ多数刺咬症
,
幼虫
,
除去法
,
フェノトリン5%液
pp.359-364
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205996
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要約 74歳,男性.栃木県那須町在住.2018年9月初旬,両下肢と腹部に瘙痒を伴う皮疹が出現.約1か月間,ステロイド外用を行ったが症状の改善を認めず当院を受診した.腹部,下肢に粟粒大から米粒大の紅色丘疹を多数認めた.靴下上の虫体を採取して顕微鏡で観察したところ,3対6脚を有しており,形態からマダニ幼虫による刺咬症を疑った.用手的な摘除が困難であったため,フェノトリン5%液を外用し,1週間後に症状改善を認めた.その後,顕微鏡による観察から,フタトゲチマダニ幼虫と同定した.フタトゲチマダニ幼虫は全国に広く分布し,時に多数刺咬例が報告されている.摘除困難な多数刺咬例には,フェノトリン5%液が治療選択肢となることが示唆された.また,フタトゲチマダニ刺咬症は日本紅斑熱や重症熱性血小板減少症候群などのダニ媒介性疾患の原因となる可能性が高いため,今後も注意が必要である.
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