Japanese
English
症例報告
粘膜皮膚病変はコントロール良好であったが閉塞性細気管支炎を発症した腫瘍随伴性天疱瘡の1例
A case of paraneoplastic pemphigus that developed bronchiolitis obliterans despite well-controlled mucosal and skin lesions
遊佐 志乃
1
,
水芦 政人
1
,
加賀谷 早織
1
,
高橋 隼也
1
,
沼田 透効
1
,
藤村 卓
1
,
渡部 晶子
1
,
菊地 克子
1
,
相場 節也
1
,
石井 文人
2
,
橋本 隆
2
Shino YUSA
1
,
Masato MIZUASHI
1
,
Saori KAGATANI
1
,
Toshiya TAKAHASHI
1
,
Yukikazu NUMATA
1
,
Taku FUJIMURA
1
,
Akiko WATABE
1
,
Katsuko KIKUCHI
1
,
Setsuya AIBA
1
,
Norito ISHII
2
,
Takashi HASHIMOTO
2
1東北大学大学院医学系研究科神経感覚器病態皮膚科学分野
2久留米大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Tohoku University Graduate School of Medicine, Sendai, Japan
2Department of Dermatology, Kurume University School of Medicine, Kurume, Japan
キーワード:
腫瘍随伴性天疱瘡
,
閉塞性細気管支炎
,
エピプラキン
Keyword:
腫瘍随伴性天疱瘡
,
閉塞性細気管支炎
,
エピプラキン
pp.589-595
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205797
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要約 65歳,女性.濾胞性リンパ腫の化学療法中に口腔内のアフタ,体幹・四肢の水疱・紅斑が出現し,当科を受診した.皮膚生検の病理組織学的検査で棘融解と液状変性を認め,蛍光抗体間接法では正常ヒト皮膚およびラット膀胱移行上皮間にIgGの沈着を認めた.免疫ブロット法では210,190kDaに反応がみられた.以上の結果より腫瘍随伴性天疱瘡(paraneoplastic pemphigus:PNP)と診断した.ステロイド全身投与やIVIG療法,血漿交換療法で皮膚症状は改善し,難渋した口腔内病変もステロイドパルス療法とシクロスポリン内用液による含嗽で消退した.治療開始約半年後,粘膜皮膚症状ともに再燃なく経過していたが咳嗽が出現し,胸部CT検査で閉塞性細気管支炎(bronchiolitis obliterans:BO)と診断した.BOはPNPの約20%に生じ,進行する呼吸不全のため致死的となる.PNPに伴うBOの発症にはエピプラキンに対する自己抗体が関与していると推測されているが,予測因子となるものや有効な治療法は確立されておらず,今後のさらなる研究が待たれる.
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