Japanese
English
症例報告
人工透析患者に生じた多発性固定薬疹の1例
A case of multiple fixed drug eruption complicated with hemodialysis
佐藤 洋平
1
,
水川 良子
1
,
堀江 千穂
1
,
平原 和久
1
,
狩野 葉子
1
,
塩原 哲夫
1
Yohei SATO
1
,
Yoshiko MIZUKAWA
1
,
Chiho HORIE
1
,
Kazuhisa HIRAHARA
1
,
Yoko KANO
1
,
Tetsuo SHIOHARA
1
1杏林大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, Kyorin University School of Medicine, Mitaka, Japan
キーワード:
多発性固定薬疹
,
人工透析
,
アセトアミノフェン
,
PL顆粒®
,
サイトカイン
Keyword:
多発性固定薬疹
,
人工透析
,
アセトアミノフェン
,
PL顆粒®
,
サイトカイン
pp.480-484
発行日 2019年6月1日
Published Date 2019/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205773
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要約 65歳,男性.既往に糖尿病による網膜症および腎症があり,週3回人工透析を施行していた.4年前より左上腕に色素斑が出現し,徐々に拡大したが放置していた.2013年3月,下肢に水疱を認め近医皮膚科を受診した.その際,四肢を中心に周囲に紅斑を伴う色素斑が多発し,市販の感冒薬,PL顆粒®などを頓用していたことから固定薬疹が疑われ,当科を紹介され受診した.入院のうえ,PL顆粒®の内服試験を施行した.薬剤内服45分後に紅斑が誘発され,その新生は内服24時間後まで続いた.その後,複数回の人工透析を行ったにもかかわらず,紅斑は遷延した.経時的な血清サイトカインの測定において,TNF-αは透析後にいったん低下するものの,その後上昇し,健常例と比較して高い数値で推移した.透析によりサイトカインは一時的に除去されるが,透析性の低い原因薬剤ではその除去が遅れるためサイトカインの産生が続き,症状の遷延化につながると思われた.
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