Japanese
English
症例報告
外傷を契機に発症した線状強皮症の1例
A case of linear scleroderma occurring after trauma
八木沼 彩
1
,
簗場 広一
1
,
中川 秀己
1
,
堀田 健人
2
Aya YAGINUMA
1
,
Koichi YANABA
1
,
Hidemi NAKAGAWA
1
,
Taketo HOTTA
2
1東京慈恵会医科大学皮膚科学講座
2堀田皮フ科
1Department of Dermatology, The Jikei University School of Medicine, Tokyo, Japan
2Hotta Dermatology Clinic, Soka, Japan
キーワード:
線状強皮症
,
限局性強皮症
,
外傷
,
小児
,
ステロイド
Keyword:
線状強皮症
,
限局性強皮症
,
外傷
,
小児
,
ステロイド
pp.953-956
発行日 2018年11月1日
Published Date 2018/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412205565
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要約 10歳,男児.初診半年前に左母指を捻挫し,消炎鎮痛外皮用薬を貼布していた.受傷2週間後,貼布部位を越えて拡大した硬化局面を自覚し,近医を受診し当院を紹介され受診した.初診時,左母指背側IP関節から前腕橈側にかけて光沢を伴う硬化局面と,それに連続するように上腕にごく淡い線状紅斑を認めた.左母指の硬化局面に一致して関節拘縮があった.病理組織では,真皮から脂肪組織にかけてリンパ球と形質細胞を主体とする細胞浸潤があり,真皮全層と脂肪組織に膠原線維の膨化,増生がみられたため,線状強皮症と診断した.プレドニゾロン0.5mg/kgに相当する10mg/日の内服を開始したところ,内服開始6か月後上腕の紅斑は消失し,前腕の硬化局面は軽快した.限局性強皮症の誘因には諸説あるが,衣服による摩擦,注射,感染症,放射線曝露などが原因と考えられた症例が報告されている.小児では,病変が筋や骨など深部に及ぶと,成長障害や機能障害をきたすおそれがあるため,早期診断と早期治療が重要である.
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