Japanese
English
症例報告
壊疽性膿皮症を契機に見つかった無症候性IgA-κ型多発性骨髄腫の1例
Pyoderma gangrenosum as a sign of asymptomatic IgA-kappa multiple myeloma
守内 玲寧
1
,
菊地 一博
1
,
伊東 孝政
1
,
伊東 英里
2
,
山口 圭介
3
,
清水 聡子
1
Reine MORIUCHI
1
,
Kazuhiro KIKUCHI
1
,
Takamasa ITO
1
,
Eri ITO
2
,
Keisuke YAMAGUCHI
3
,
Satoko SHIMIZU
1
1市立札幌病院皮膚科
2札幌市
3市立札幌病院血液内科
1Division of Dermatology, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan
2Sapporo, Japan
3Division of Hematology, Sapporo City General Hospital, Sapporo, Japan
キーワード:
壊疽性膿皮症
,
無症候性多発性骨髄腫
,
IgA
Keyword:
壊疽性膿皮症
,
無症候性多発性骨髄腫
,
IgA
pp.595-598
発行日 2015年7月1日
Published Date 2015/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204507
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要約 43歳,女性.初診の2週間前から,左下腿前面に虫刺症様の皮疹が出現し,徐々に拡大した.初診時,左下腿前面に5cm大の辺縁が蚕食状で穿掘性の皮膚潰瘍を認めた.病理組織学的には真皮内への夥しい好中球の浸潤がみられ,臨床所見と併せ壊疽性膿皮症(pyoderma gangrenosum:PG)と診断した.採血で免疫グロブリンの異常が判明したため血液内科と連携し検索を進めた.骨髄穿刺で骨髄腫細胞の増加があり,骨髄液を用いたFISH法で13qの部分欠失が認められ,さらに免疫固定法で尿・血清のいずれにおいてもIgA-κ型のM蛋白が検出され,IgA-κ型の無症候性多発性骨髄腫と診断された.PGの治療にはプレドニゾロン1mg/kg/日とシクロスポリン3mg/kg/日を用いた.その結果潰瘍の拡大は停止し,その後緩徐な経過で上皮化してきている.自験例ではPGの存在が無症候性の多発性骨髄腫の発見につながった.PGの診断はその背景にある疾患の早期診断につながる可能性があり,その面でも皮膚科医の役割は大きい.
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