Japanese
English
症例報告
脾臓破裂によって転移が明らかになった頭部血管肉腫の1例
A case of scalp angiosarcoma whose metastasis was revealed by the splenic rupture
山上 優奈
1
,
嘉山 智子
1
,
遠藤 雄一郎
1
,
藤澤 章弘
1
,
谷岡 未樹
1
,
椛島 健治
1
,
宮地 良樹
1
Yuna YAMAGAMI
1
,
Tomoko KAYAMA
1
,
Yuichiro ENDO
1
,
Akihiro FUJISAWA
1
,
Miki TANIOKA
1
,
Kenji KABASHIMA
1
,
Yoshiki MIYACHI
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚生命科学講座
1Department of Dermatology, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan
キーワード:
血管肉腫
,
脾臓転移
,
腹腔内出血
Keyword:
血管肉腫
,
脾臓転移
,
腹腔内出血
pp.417-420
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204462
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要約 81歳,男性.79歳時,左前頭部に約1.5cm×2cmのドーム状の紫褐色腫瘤および周囲に紫斑を伴う径1cm程の小結節を認めた.病理組織検査で血管肉腫と診断し,腫瘍切除と分層植皮術を施行した.術後より遺伝子組み換えインターロイキン2(IL-2)投与を開始したが,植皮辺縁に再発を認め,パクリタキセル(70mg/m2)と電子線照射(計70Gy)の放射線化学療法を開始し,化学療法は継続した.初診より約3年後,出血性ショックで来院した.CTでは,肝・脾臓に血管肉腫の多発転移と脾臓転移巣からの出血を認めた.緊急で脾動脈に対して経カテーテル動脈コイル塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を施行し,活動性出血は消失した.しかし,入院7日目に脾臓転移巣からの再出血のため死亡した.皮膚原発の血管肉腫の脾臓転移は非常にまれで,原発性か転移性かにかかわらず,破裂前の脾摘出術が推奨される.自験例では全身状態不良のため,TAEを施行した.血管肉腫の脾臓転移は臨床症状に乏しく発見が遅れることがあり注意を要する.
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