Japanese
English
症例報告
褥瘡と誤認されていた左臀部線維粘液肉腫の1例
A case of acute left buttock myxofibrosarcoma misdiagnosed as a pressure ulcer
矢嶋 萌
1
,
上田 美帆
1
,
佐藤 真美
1
,
遠藤 雄一郎
1
,
谷崎 英昭
1
,
藤澤 章弘
1
,
谷岡 未樹
1
,
宮地 良樹
1
Moyu YAJIMA
1
,
Miho UEDA
1
,
Mami SATO
1
,
Yuichiro ENDO
1
,
Hideaki TANIZAKI
1
,
Akihiro FUJISAWA
1
,
Miki TANIOKA
1
,
Yoshiki MIYACHI
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚科
1Department of Dermatology, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan
キーワード:
褥瘡
,
線維粘液肉腫
Keyword:
褥瘡
,
線維粘液肉腫
pp.788-792
発行日 2012年9月1日
Published Date 2012/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103411
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要約 85歳,女性.2010年7月,当院他科入院時に看護師によって左臀部に3cm程度の皮膚病変を指摘された.担当医師に報告のうえ「肉芽良好な褥瘡」として対処された.皮膚科へのコンサルトはなかった.半年後に11cmにまで増大した腫瘤となり,大量出血をきたして当科を受診した.腫瘤は易出血性の辺縁不整な隆起性病変で,表面はびらん,色調は暗赤色であり,悪臭が著明であった.左鼠径部には9cm大のリンパ節転移も認めた.原発巣の組織像は,真皮乳頭層から皮下脂肪織まで異型の強い紡錘形細胞の浸潤性増殖を認め,粘液産生を伴って,奇怪な核を持った細胞と多角の異型細胞が多数出現していた.さらに免疫染色はビメンチンのみ陽性であり,病理診断は線維粘液肉腫であった.自験例では,看護師が肉芽良好な褥瘡と誤認したこと,担当医が皮膚科にコンサルトせず,そのまま経過したこと,経過がフォローされなかったことが重なり,線維粘液肉腫が褥瘡と誤認されていた.院内の褥瘡の管理にはさらなる啓発活動と適切な管理体制が必要である.
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