Japanese
English
症例報告
脂漏性角化症の病変内に生じた基底細胞癌の1例
A case of basal cell carcinoma arising in the lesion of seborrheic keratosis
本田 由貴
1
,
劉 祐里
1
,
大日 輝記
1
,
遠藤 雄一郎
1
,
藤澤 章弘
1
,
谷岡 未樹
1
,
桜井 孝規
2
,
椛島 健治
1
,
宮地 良樹
1
Yuki HONDA
1
,
Yuri RYU
1
,
Teruki DAINICHI
1
,
Yuichiro ENDO
1
,
Akihiro FUJISAWA
1
,
Miki TANIOKA
1
,
Takaki SAKURAI
2
,
Kenji KABASHIMA
1
,
Yoshiki MIYACHI
1
1京都大学大学院医学研究科皮膚科
2京都大学医学部附属病院病理診断部
1Department of Dermatology, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto, Japan
2Department of Diagnostic Pathology, Kyoto University Hospital, Kyoto, Japan
キーワード:
脂漏性角化症
,
基底細胞癌
,
ダーモスコピー
,
毛包漏斗部
,
顔面
Keyword:
脂漏性角化症
,
基底細胞癌
,
ダーモスコピー
,
毛包漏斗部
,
顔面
pp.402-406
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412204457
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要約 76歳,男性.左頰部の黒褐色結節を主訴に受診した.ダーモスコピーではbrain-like appearance, comedo-like openingsを伴う褐色結節病変の中央に,角化を伴う黒色病変を認め,同部位の皮膚生検,病理組織像より基底細胞癌と診断した.切除標本の病理組織像では脂漏性角化症の病変に連続して基底細胞癌を認めた.組織型はそれぞれ脂漏性角化症が角質増生型と網状型,基底細胞癌が腺様型であり,合併例の組織型としてはこれまで報告のないものであった.脂漏性角化症は良性の皮膚腫瘍であるが,皮膚悪性腫瘍との合併例が報告されており,なかでも基底細胞癌との合併が最も多いとされている.自験例では脂漏性角化症の病変内に連続して基底細胞癌が発生していたが,両腫瘍の鑑別に有用とされるダーモスコピーでは典型的な所見は得られず,皮膚生検実施前には基底細胞癌の診断には至らなかった.脂漏性角化症の病変内に非典型的な所見を認めた際には,皮膚生検による精査が望ましいと考えた.
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