Derm.2005
皮膚心身症と心理社会的因子
片岡 葉子
1
1大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター皮膚科
pp.75
発行日 2005年4月1日
Published Date 2005/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412100160
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近年,皮膚科においてもストレスと皮膚症状のかかわりなど心身相関への関心が持たれるようになってきた.日本皮膚科学会の専門医研修目標にも精神身体医学の重要性が謳われ,行動目標が明記されている.しかし,心身症を正しく理解している皮膚科医は少なく,心身症,あるいは気分障害や統合失調症などの精神疾患への偏見のために,これらを合併する患者に対して不十分な皮膚科的治療しか遂行できていない医師も少なからず,が現状のように思う.
日本心身医学会では,心身症を“身体疾患の中で,その発症や経過に心理社会的な因子が密接に関与し,器質的ないし機能的障害が認められる病態”と定義している.この考え方は,WHOの健康の定義“単に病気がないだけでなく,肉体的にも,精神的にも,社会的にも良好な状態”にも通ずる.心理精神的要素,社会的要素,生物学的要素の3者が互いに相互関係をもって身体疾患の成立に関与すると考えるのが心身医学の考え方である.心身医学的治療とは,心理療法をすることとは限らない.疾患を遷延させている要素を身体面,心理面,社会面から全人的に検討して問題を解決していくことであり,医学の原点ともいえる.
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