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国際生活機能分類(ICF:International Classifi-cation of Functioning, Disability and Health)は,主に健康領域(健康関連領域を含む)を扱うものであり,その領域は心身機能・身体構造(body func-tions and structures),活動(activities),参加(par-ticipation)に分類されている.これらに影響を及ぼす環境因子(environmental factors),個人因子(per-sonal factors)を加え,すべてが相互作用する概念で構成されている.したがって,心身機能,身体構造,活動,参加といった生活機能(functioning)と,機能障害(構造障害を含む),活動制限,参加制約といった障害(disability)は,健康状態と環境因子のダイナミックな相互作用と考えられる1).ここでいう活動とは,課題や行為の個人による遂行を指すが(参加は生活・人生場面へのかかわり),理学療法が,「動作から行動」,「行動から行為」への進展に寄与するものであるならば,活動とは「行為を通して自分自身,多くの人々,環境などにかかわりながら自らを(再)構築するものである」と規定することができる.通常,行為には意味や意図,さらには目標が含まれているものであり,理学療法士と患者による相互行為に活動の水準を高めるという意図と目標が,共通の相互的な期待(mutual expectation)として生じることが必要である.臨床の場面においては,専門職である理学療法士の役割として,「患者(人間)の活動の水準」(以下,活動水準)を高める責務があり,単に現代医学という一面性からだけではなく,医療の構成要素である心理的,社会的,文化的な側面からもそれを考えなければならない.
そこで,活動水準を高めるため,理学療法士として理解しておかなければならないこと,その専門性に付加すべきことを社会心理的側面から述べてみたい.
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