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以前はあまりなかったことだが最近,ときどき臨床と研究の関係についてまじめに考えることがある.私が研究を始めたのは入局後4年目のことで,動機はその頃なんとなくいろいろなことに行き詰まりを感じており,新しいことを始めたかったということが主だった.大学で臨床をしながら研究をするという環境に恵まれ,最初は手技的な面白さから始まり,数年が経過した現在は,自分で考えながら実験計画を進めていく楽しさも感じることができるようになってきた.しかし一方では,まったくの基礎的な研究ではなく,実際に臨床の場で活かされるような研究結果を出すことの難しさを実感し,へこんでしまうこともしばしばである.幸いにも私は,この数年の間に尊敬すべき多くの先生方から,臨床をしながら研究を続けていく必要性や楽しさ,さらにはモチベーションを保っていく方法についても何度となく教えていただく機会を得て,たくさんの刺激を受けながらやってくることができた.今ではすでに常識となった検査方法や診断に必要な抗体の検出も,それらが臨床経験に基づく研究の末に可能となり,新しいコトが明らかになっていくのだということが理解できるようになり,それを実際に目にするたびに自分もやってみたいと思い,意気込んでみるのだが,やはりしばらくするとまたへこんでしまう.そんな疲れた感じが私からにじみ出ているのか,皮膚科医として研究をしていくという魅力について,私がパワフルな諸先生方から教えていただいたのと同じようにはうまく後輩たちに伝えることもできず,自分の無力さを思い知ることも多い.できればもう少し自分にもパワーをつけて,これからも浮き沈みを繰り返しながらも,なんとか臨床と研究を続けていければなと考えながらまた細々と実験を始めるこの頃である.
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