連載 周産期の母子の看護
心理社会的アプローチ・1【新連載】
妊産褥婦の心理社会的因子
新道 幸恵
1
,
和田 サヨ子
2
1国立公衆衛生院衛生看護学部
2聖母女子短期大学
pp.332-338
発行日 1986年4月25日
Published Date 1986/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206860
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連載にあたって
受精によって母体の体内に生じる様々な変化は,胎児の発育を維持・促進させることを目標にした生理的経過であって疾病による変化とは異なる。しかし,生理的経過とはいっても,その経過は非妊時とは大きく異なったもので,その経過に応じて,妊婦は,身体的には,つわりやマイナートラブルのような変化を受け,心理的にはその身体的変化による不快感や違和感を経験し,その他,胎児の存在や発育に関連する様々な感情を経験する。さらに妊婦は,休息を多くとる,家事労働時の姿勢に注意する,外出や運動・旅行を控える,等の必要性のために,家庭生活や社会性活の変化も余儀なくされる。
受精によって始まった母体の変化は,胎児娩出後,非妊時の状態に復古するまで,変化の様態を変えながらも持続する。それらの変化を受けている婦人(妊婦・産婦・褥婦)の心理的状態や家庭生活や社会生活の変化は,母体の復古とともに非妊時の状態に復することはなく,児の出生によって,さらに新たな変化を体験するようになる。
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